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山岡酒店の日記やお知らせ、売り物のお酒をご案内しています。 飲むこと食べることをこよなく愛する私と料理と素材に精魂込める母と商品知識は今ひとつながら愛想はいい父親の三人の店です。
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 しばらく前のことになりますが、先の日曜日にお酒の仕入れに出かけたところ、写真のようなものが目に留まりました。今から20年位前までは一部で使われ続けていた、一升瓶が10本入る木箱です。

 清酒の瓶商品自体は明治時代に月桂冠が始めたといいますが、今の一升瓶が流通の主流になるのは、戦後の高度成長期のことです。(それまでは小売店が桶で仕入れて量り売りでした)
 一升瓶の流通が始まるとこの木箱が登場しまして、35年位前にプラスチック製の箱が使われだすまではこれが主役でした。その後も剣菱やいいちこなど、一部のメーカーが遅くまで使っていました。プラスチックに比べると高級感があったからのようです。
 とはいえ、もっぱらこの木箱が使われていたのは、ほんの20年ほどのことだったんですね。

 空き瓶の入ったものは、地面に直接置いていたことが多く、シロアリの巣になって困ったこと、一度使っただけできれいなものは、贈答の箱として求める人があったなど、蔵元から往時の思い出話やプラスチックに変更するときのいきさつなどを聞きました。

 そうそう、この木箱は丸太を製材して角材をとったときにでてくる、三日月のような形の部分から、さらに切り出した板で作ります。こうした板は反ったり曲がったりしやすくて不人気なのですが、釘でがっちりとくみ上げる木箱なら大丈夫。安い板をつかった加工品として、山の村ではそこそこの産業だったんだと思います。



 そんな話題も色々あります年代物が、なぜここで使われているのかといいますと、プラスチックケースの回収が最近滞っているのが、そもそものきっかけだったそうです。

 以前のように、酒屋が一升瓶をプラスチックケースで売って、そのままケースで空き瓶を回収していた当時は良かったのですが、そうした構造が崩壊して、地域によっては瓶ばかりが集まってしまうことがあります。こうしたところでは、瓶を運ぶためにはプラスチック箱が要りますから、回収の業者がかなり熱心にプラスチックの箱を集めているのだそうで、こちらの蔵にも求めがあったのだそうです。
 さすが酒蔵ですから、手持ちの余分のうちから、かなりまとまった数を提供したのだそうですが、そのときに一緒に保管していた木箱を、蔵の中での瓶の取り扱いに使おうと、出してきたんだそうです。

 久しぶりに見た山積みの木箱に、色々と四方山話に花が咲きました。
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